病院全体をリードする連携係

病棟は、基本的に内科や外科などの専門科によって分かれていることが多く、そこで働く看護師が持つ専門性も病棟によって異なります。たとえば癌の患者さんが多い病棟であれば、疼痛や呼吸困難などの症状に対する緩和ケアが重要になり、高齢者や寝たきりの患者が多いような病棟であれば、褥瘡などの皮膚ケアやMRSAなどの感染対策が欠かせなくなります。

一般的に、こうしたあらゆる分野ごとに医師・看護師、薬剤師などの多職種でチームを組み、ケアに取り組んでいます。その際、各専門チームと病棟で働く看護師さんは、しっかりと連携することが必要不可欠になってきます。そこで、連携をスムーズにするために導入されたのが、リンクナース制度です。

リンクナースは、それぞれの病棟から各分野ごとに数人ずつの看護師が選出されます。リンクナースは、自分の働いている病棟の患者さんの問題点を抽出し、それを専門チームのスタッフと相談し合います。そして専門的な知識に基づいたアドバイスを得た上で、病棟のスタッフにフィードバックすることが求められます。

たとえば、感染対策のリンクナースの場合、入院患者さんから院内感染を予防する必要のある病原体が検出された時に出番がやって来ます。まず病原体を持つ患者さんの受け持ち看護師から情報収集をします。次にどのような感染対策が必要かどうかを感染対策チームに相談した後、看護師全体に共有する流れになります。

こうしたリンクナースの働きは、病院全体に大きな影響を与えるものです。より良い医療現場をつくり、最善のケアを施したいと感じている方は、リンクナースへの道を検討してみると良いかもしれません。